超高齢化社会、日本。今までとは異なる人口構成になってきて、さまざまな問題が浮かび上がってきています。その中の一つが、「認知症」です。内閣府の推計によると、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、2025年には約675万人と5.4人に1人が認知症になると予測されています。
参照:平成29年版高齢社会白書
認知症とは?
「認知症」とは、さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
知っておきたい認知症の基本
つまり認知症とは、脳細胞が破壊されることによって、記憶していた物事などが思い出せなくなることを言います。さらに認知症は進行性のため、一度発症するとどんどん症状が悪化していきます。
加齢に伴う物忘れと認知症は混同されがちですが、両者は全く違うものです。脳の老化によって生じる「加齢に伴う物忘れ」は、あくまでも部分的な物忘れであり、進行性もなく、日常生活にさほど影響はありません。
認知症は罹患している本人だけでなく、介護者や家族に対して、身体的、心理的、社会的、経済的な影響を及ぼし、大きな社会問題の一つとなっています。
認知症とアロマの関係
みなさんは、何かの香りを嗅ぐことで昔を思い出したり、特定の出来事を思い出したことはありませんか?嗅覚は記憶を誘発させたり、情動反応などのトリガーになることが知られています。つまり、記憶と香りは近い位置に存在しているのです。
実際に近年の研究では、認知症になると「物忘れ」以前に「匂い」がわからなくなる嗅覚障害が起こることがわかってきました。それによって、臭いを感知する嗅神経と記憶を司る海馬が密接に連携していると考えられるようになりました。さらに、脳の神経細胞の多くが再生できませんが、幸いなことに嗅神経と海馬には再生能力があることがわかっています。つまり嗅覚を働かせることで、海馬を含む脳の活性化を促すことができるのではないか、と考えられています。
このような流れから、嗅覚を刺激するアロマと認知症の関連性を示す研究が行われてきています。
研究1:アルツハイマーに対するアロマの有用性
認知症の中でも7割ほどを占めると言われるアルツハイマー。この研究では、アルツハイマー患者の高齢者28人に対して、集中力を高め記憶力を強化するローズマリー&レモンと、心や体に対して鎮静作用があると言われるラベンダー&オレンジのアロマオイルの香りをディフューザーで散布しました。
その結果、アロマオイルを散布した群では知的機能の改善が見られた。また、アロマオイルの使用量を増やすことでより広い効果が期待できることが示唆されています。
参照:アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性
研究2:ローズマリーと記憶力の関連性
アロママッサージにおいて一般的に使用されるローズマリーオイルが健全な成人における認知成績の向上を手助けすること、また脳のパフォーマンスを向上させることが示されています。
さらにローズマリーが将来するべきタスクを忘れないようにすることを手助けすることが明らかにされ、認知症への貢献も示唆されています。
参照:認知症のためのアロママッサージ
まとめ:アロマの香りは脳に良い影響を与える
アロマは認知症だけではなく、脳機能や記憶能力にも良い影響を与えることが示されていました。天然成分100%なので、副作用の心配が少ないのも良い点ですね。今後さらに研究が蓄積してくると、より多くの人がアロマを日常に取り入れていくかも知れませんね!